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受け入れ企業の実務

技能実習生の健康診断、いつ・何をすればいい?

健診が必要なのは大きく3つの場面。来日前は送り出し国で、来日後は会社が「雇入時 → 年1回の定期」を実施します。母国で受けていても日本で受け直すのが原則、費用は会社負担、記録は5年保存。受診先の選び方や、要再検査・結核など所見が出たときの対応まで、受け入れ企業の目線で早わかりに整理しました。

まず要点だけ 健康診断が必要なのは入国前(送り出し国)、雇入時(入社時に日本で)、その後の定期(年1回)の3つの場面。会社がやるのは雇入時健診と定期健診で、費用は会社負担母国で受けても日本で受け直すのが原則です。受診先はどの病院でもよいわけではなく、健診を扱う医療機関・労働衛生機関で受けます(特殊健診は専門機関)。結果は個人票として5年保存要再検査や結核などの所見が出たら、医師の意見を聴いて対応します。

① 健診は「入国前」と「入国後」で分かれる

技能実習生の健康診断は、来日前に送り出し国で受けるものと、来日後に受け入れ企業が実施するものに分かれます。

入国前結核スクリーニングについて 日本は一部の国の中長期在留者に「入国前結核スクリーニング」を導入していますが、技能実習・特定技能は当面この対象外です。これらの在留資格はもともと入国前の健康診断で胸部レントゲンを含む結核検査が課されているためです(出典:出入国在留管理庁)。

母国で受けていても、日本の医療機関で受け直すのが原則です。母国の健診は日本の法定項目と内容や様式が異なり、項目が揃わないことが多いためです。

② 受け入れ企業がやる健診は2つ(+特殊)

種類いつポイント
雇入時健康診断入社時
(配属の前後おおむね3か月以内)
11項目・省略不可。胸部レントゲン必須。全員が対象。
定期健康診断年1回
(前回から1年以内ごと)
全員が対象。一部の項目は医師の判断で省略できる。
特定業務従事者健診年2回
(6か月以内ごと)
深夜業(22時〜5時)などに従事する人。項目は定期健診と同じ。
特殊健康診断業務に応じて有機溶剤・粉じん・特定化学物質など有害業務に就く場合のみ。

※「特定業務」の深夜業は、6か月を平均して1か月あたり4回以上(おおむね週1回以上)深夜の時間帯に働く人が対象です。

③ いつ受ける?(タイムライン)

④ 雇入時健診の「11項目」

雇入時健診は労働安全衛生規則で項目が決まっており、項目の省略はできません(定期健診は医師の判断で一部省略できますが、雇入時は不可)。

費用の目安 雇入時健診に喀痰検査はなく、胸部レントゲンが必須です。費用は会社負担で、1人あたりおおむね1万円前後が目安(医療機関により異なります)。

⑤ どこで受けられる?(病院ならどこでも、ではない)

健診には胸部レントゲン・血液検査・心電図などの設備が必要で、普通の町の診療所では対応していないことが多いです。種類によって受診先が変わります。

健診の種類主な受診先
雇入時・定期健診
(一般健診)
「企業健診(雇入時・定期)」を扱う病院・クリニック健診センター労働衛生機関(全国労働衛生団体連合会の加盟機関など)、各地の予防医学協会。胸部レントゲン等の設備があり、健診メニューを用意している所を選び、事前予約します。
特殊健診
(有害業務)
有機溶剤・特定化学物質・鉛・粉じん(じん肺)・電離放射線などの専門検査が必要で、町医者では対応できないことが多いです。労働衛生機関労災病院など、その特殊健診を扱う専門機関で受けます。
受診先で迷ったら 技能実習生は監理団体が提携の医療機関を紹介してくれることが多いので、まず監理団体に相談するのが早道です。特殊健診の受診先が分からないときは、産業保健総合支援センター(さんぽセンター)や所轄の労働基準監督署、加入している労働衛生機関に問い合わせると案内してもらえます。産業医がいる事業場は産業医にも相談を。

⑥ 費用・記録・報告

⑦ 結果に所見があったら(要再検査・要精密検査・結核など)

健診は「受けて終わり」ではありません。結果はAからEなどで区分され、D=要再検査・要精密検査E=要治療です。異常の所見があった人については、会社は医師の意見を聴き(健診日または結果提出から3か月以内。所見があった人全員が対象で、従業員50人未満でも義務)、必要に応じて就業上の措置(労働時間の短縮、深夜業・作業の変更、配置転換など)をとります。

要再検査・要精密検査のとき

会社は本人に再検査・精密検査の受診を勧めます。一般健診の再検査・精密検査は原則として本人負担(健康保険が使えます)ですが、受診しやすいよう会社が案内・配慮するのが望ましい対応です。技能実習生は言葉の壁があるため、結果の説明や受診の案内は通訳ややさしい日本語で行い、放置されないようにします。

食生活の違いで数値が出ることも 母国の食生活の違いなどで、血中脂質・血糖・肝機能・尿の値などが基準を外れることがあります。頭ごなしに「不適格」とはせず、再検査と、通訳を介した生活・食事のアドバイス(保健指導)で改善を支えます。産業医がいる事業場は産業医にも相談を。
結核ってどんな病気?(30秒)
  • 空気でうつる(排菌している発病者の咳などで空気中に出た菌を吸い込む)。食器の共有・握手・入浴ではうつりません。
  • うつすのは発病して排菌している人だけ。感染しても約9割は生涯発病しません。治療で排菌が止まればうつしません。
  • 薬をきちんと飲み切れば治る病気(標準で約6か月)。自己判断でやめると、薬が効かない多剤耐性結核のもとになります。
  • 日本は患者の少ない「低蔓延国」ですが、高蔓延国(例:フィリピン・ベトナムなど)出身者は感染している割合が高め。だから入国前・雇入時の胸部レントゲンが大切です。

もし結核になったら(症状の進み方)

結核はゆっくり進むのが特徴で、初期は風邪によく似ています。ただし自然には治りません。進み具合の目安です。

初期
気づきたい
2週間以上の咳・痰/微熱・だるさ/寝汗/体重が減る
風邪に似ていて見逃しやすい段階。でもここで受診できれば治療しやすい
進行
要注意
痰に血が混じる(血痰)/咳・痰の悪化/胸の痛み・息切れ
人にうつしやすい段階。すぐ受診・検査を。
重い
危険
喀血(多めの出血)/高熱が続く/強い息切れ・大きな体重減少
入院が必要・命に関わることも
見つけるサイン=「2週間以上のせき」 かぜ薬で治らない咳が2週間以上続いたら、結核を疑って受診を。早く見つけるほど本人も軽く済み、周りへの広がりも防げます

結核が疑われたとき

胸部レントゲンで結核が疑われたら、すぐに就業させず、医療機関で精密検査(喀痰検査など)を受けます。感染性の結核と診断された場合は、感染症法に基づき就業が制限され、感染力がなくなるまで休養・入院して治療します(保健所が関与し、治療費は公費の対象になります)。感染力がないと確認されれば、通院治療をしながら就業に戻れます。

結核は会社だけで抱え込まない 結核は保健所が中心になって対応します。会社は保健所の指示に従い、本人を不利益に扱わず治療を支援します。在留資格や実習の継続(治療中の扱い・帰国の要否など)は、監理団体や入管に相談して判断します。

受け入れ企業がやることチェック

  1. 受診先を確保:健診を扱う医療機関・労働衛生機関を予約(特殊健診は専門機関)。監理団体に提携先を確認すると早い。
  2. 来日前:送り出し国での健診(結核を含む)を監理団体経由で確認する。
  3. 入社時(配属の前後おおむね3か月以内):日本の医療機関で雇入時健診(11項目・省略不可)を受診させる。
  4. 毎年1回の定期健診。深夜業に就く人は6か月ごと(年2回)。
  5. 記録・報告:健康診断個人票を作成して5年保存。常時50人以上の事業場は定期健診の結果報告書を労基署へ。
  6. 所見が出たら事後措置:医師の意見を聴き、必要なら就業上の措置・再検査の案内。結核など重い所見は保健所・監理団体と連携し、通訳でフォロー。

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