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受け入れ企業の実務

技能実習生がケガ・病気をしたら、どうする?

仕事中・通勤のケガや病気は「労災」。治療費は本人負担なし、休業は約8割。ただし内容で様式が違い、建設業は元請の労災を使い、休業日数で報告の重さも変わります。手続き・報告義務・責任者の負担まで、受け入れ企業の目線で早わかりに。

仕事中・通勤のケガは労災で、健康保険証は使わない。治療費は本人負担なし(労災指定病院なら窓口での支払いも無し)、休業は4日目から約8割(休業補償給付60%+特別支給金20%)。手続きは内容で様式が違い、労災指定病院での治療は様式第5号、指定外の病院での立替払いは様式第7号、休業の補償は様式第8号。建設の工事現場は元請の労災で請求し、元請の労働保険番号と事業主証明が要る(製造業は自社の労災)。休業4日以上・死亡は労働者死傷病報告(様式23号)を遅滞なく、休業1〜3日は様式24号を四半期ごとに提出する。
治療費と休業の補償、内容で違う様式、休業日数で変わる報告の重さ。

まず要点だけ

仕事中・通勤のケガは労災治療費は本人負担なし・休業は4日目から約8割
仕事中のケガに保険証は使わない健康保険で処理すると労災隠しに
建設業だけは元請の労災造船・製造業などは自社の労災
休業4日以上は報告が重い労災隠し・重大災害は責任者個人も書類送検

① 仕事中・通勤のケガや病気は「労災」

労災保険は国籍を問わず、雇われて働く人すべてが対象です(技能実習生も同じ)。保険料は全額会社が負担。仕事中(業務災害)や通勤中(通勤災害)のケガ・病気は、本人負担なしで治療を受けられ、休んだ期間の収入も補償されます。

② ケガをしたら、どうする(手順)

  1. STEP 1 ── すぐ手当・受診「仕事中(通勤中)のケガです」と病院に伝える手当てと受診を最優先に。病院では労災であることを伝え、健康保険証は使いません。労災指定病院なら、原則窓口での支払いなしで治療を受けられます。
  2. STEP 2 ── 労災保険を請求(様式は③)治療費と休業を請求労働基準監督署へ請求書を提出。療養(補償)給付=治療費が全額、休んで給与が出なければ休業(補償)給付=4日目から約8割。会社は事業主証明欄の記入などで手伝います。
  3. STEP 3 ── 報告する(⑤)労基署と機構へ報告会社は労働者死傷病報告を労基署へ。あわせて外国人技能実習機構へ事故報告を行います(⑤)。

労災を「元請でまとめる」のは建設業だけ

建設の事業=元請の労災元請の労働保険番号・事業主証明で請求。まず元請へ連絡
造船・製造業・構内下請=自社の労災雇っている会社の労災で処理(発注元ではない)

※造船業は安衛法の「特定元方事業者」として元方に安全管理の責任がありますが、労災保険を誰が使うかとは別の話です。

③ 手続きは「内容」で様式が違う

労災の請求は、ケガの内容や治療先によって使う様式が変わります。主なものは次のとおりです。

こんなとき使う様式(業務災害)
労災指定病院で治療様式第5号(通勤は16号の3)→ 病院へ提出。窓口負担なし
指定外の病院で立替払い様式第7号(通勤は16号の5)→ 払った治療費を請求
休んで給与が出ない様式第8号(通勤は16号の6)→ 賃金台帳・出勤簿・医師の証明を添付
後遺障害が残った様式第10号(障害補償給付)
亡くなった様式第12号(遺族補償給付)・葬祭料

※療養(補償)給付=治療費は全額。休業(補償)給付=待期3日のあと4日目から、給付基礎日額の60%+特別支給金20%=約8割。最初の3日(待期)は、業務災害なら会社が休業補償(平均賃金の6割)。通勤災害も労災の対象です。

④ 休業補償はどこに振り込まれる?(支給までの救済)

休業補償給付の振込先は、原則として本人の個人口座です(会社ではありません)。請求書(様式第8号)に本人の口座を書き、労働基準監督署(国)から本人へ直接振り込まれます。

空白期間の救済=「受任者払制度」

支給まで約1か月は無収入になりがち生活も母国への送金も止まってしまう
会社が給付基礎日額の80%を立て替え後で会社が労災保険から受け取る
様式第8号+届出+委任状を労基署へ通勤災害は16号の6
労災と認められなければ返金本人が立替分を会社へ返す

⑤ 休業日数で「報告の重さ」が変わる

労災が起きたら、会社は労働者死傷病報告を労働基準監督署へ提出します。休んだ日数で、報告の様式とタイミングが大きく変わります。

休業日数会社の対応
休業0日
(不休災害)
治療のみ。労働者死傷病報告は原則不要(社内の記録は残す)。
休業1〜3日様式24号を四半期ごとにまとめて提出。会社は待期3日分の休業補償(平均賃金の6割)。
休業4日以上
(・死亡)
様式23号を遅滞なく提出+休業補償給付(4日目から約8割)。監督署の関与が強まり、重大なら災害調査・是正勧告・送検も。

※2025年1月から、労働者死傷病報告は電子申請が義務化されました(パソコンがない等で困難な場合は、当分の間、書面も可)。あわせて外国人技能実習機構(OTIT)へも事故報告を行い、監理団体とも連携します。

⑥ もし亡くなったとき(死亡災害)

万が一の死亡は、手続きが多く重くなります。労災の給付に加え、社会保険の手続き、機構・入管への届出、ご遺体の搬送やご遺族・大使館への対応まで必要で、雇用主である受入企業の役割は大きく、すべてを監理団体任せにはできません。

労災(業務上・通勤)の給付

会社がやること(監理団体任せにできない)

現場責任者など個人も書類送検安全配慮義務違反・安衛法違反。罰金や懲役の対象
計画の認定取消・受入停止重大・悪質なら以後受け入れ不可に
遺族から損害賠償請求も安全配慮義務違反を理由に

⑦ 「労災隠し」と責任者の書類送検

これは「労災隠し」=犯罪

健康保険で処理する仕事中のケガに保険証を使わせない
自費で済ませる会社・本人負担でもみ消さない
死傷病報告を出さない・虚偽で出す安衛法違反で50万円以下の罰金(刑事罰)
個人の書類送検・指名停止も重大災害・安全配慮義務違反で現場代理人等が対象

労災対応は「請求して終わり」ではありません。様式の作成、元請との調整、監督署への報告・対応、再発防止——責任者の負担は小さくありません。だからこそ、起きたときに慌てないよう、流れと様式を先に押さえておくことが大切です。

⑧ 仕事以外のケガ・病気は健康保険

仕事と関係のないケガ・病気(私生活でのケガ、風邪など)は健康保険で受診します(医療費3割負担)。連続して3日休み給与が出ないときは、4日目から健康保険の傷病手当金(標準報酬日額の約3分の2)が、通算1年6か月まで支給されます。健康保険のしくみは社会保険の記事もご覧ください。

受け入れ企業がやること(チェック)

仕事中・通勤のケガは労災病院に「労災」と伝え、保険証は使わせない
建設業は元請の労災元請の番号・事業主証明で。製造業等は自社
内容に合った様式で請求療養=5号/7号・休業=8号。台帳・出勤簿・医師証明
休業補償は本人口座へ支給まで約1か月。必要なら受任者払制度
休業4日以上は様式23号を遅滞なく1〜3日は24号を四半期ごと(電子申請)+機構へ
労災隠しは絶対にしない私傷病は健康保険+傷病手当金

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※労災保険・報告の取扱いや様式は法令改正で変わることがあります。最新・正確な内容は、厚生労働省・労働基準監督署・外国人技能実習機構(OTIT)や、所属する監理団体・社会保険労務士にご確認ください。本記事は受け入れ実務の一般的な解説です。

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