① 帰国旅費は誰が負担する?(本人負担はなぜダメ)
技能実習制度では、帰国旅費は監理団体が負担すると定められています。ただし監理団体は、帰国旅費を監理費(実費に限る)として受け入れ企業から徴収できるため、実務上は受け入れ企業が負担していることがほとんどです。帰国旅費には、実習生が出発する空港までの移動費も含みます。
※ 出典:技能実習制度運用要領(厚生労働省・外国人技能実習機構)。育成就労でも、帰国旅費の本人負担禁止の考え方は引き継がれる見込みです。
② 帰国までのタイムライン(会社・本人がやること)
手続きは「出国前にやること」と「出国当日・出国後にやること」に分かれます。会社がやることと、本人が片づける生活面(会社が案内)の両方があります。下の表でフェーズごとに分けて示します。最終給与で精算するものが多いので、給与の締めから逆算して準備します。
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出国の約1〜2か月前段取り・予約・本人確認会社がやること
- 帰国日・航空券の手配(旅費は会社/監理団体負担)
- (中途帰国なら)本人の意思を書面で確認+機構へ届出(⑦)
- 住民税の給与所得者異動届出書を市区町村へ
本人がやること(会社が案内)- 母国への送金・銀行口座の解約準備
- 荷物の発送・お土産の購入
- 携帯電話・電気/ガス/水道の解約手配
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出国前(最終給与まで)税金・精算・脱退一時金の準備会社がやること
- 住民税の一括徴収(最終給与から)
- 所得税の出国時年末調整または納税管理人の届出
- 寮費・貸与品の精算/健康保険証の回収準備
本人がやること(会社が案内)- 脱退一時金の請求書類をそろえる(④参照)
- 市区町村へ転出届
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出国当日(空港)在留カードの扱い会社がやること
- 空港までの送り出し・最終確認
- パスポート・在留カードを取り上げない
本人がやること(会社が案内)- 本帰国(もう戻らない)と確認できたときだけ、出国審査で在留カードを提示。その場でパンチ穴を開けて失効させます(無効化されたカードはそのまま手元に残ることが多い)。一度失効させると戻るには一から申請。戻る可能性が少しでもあるなら出さないこと(⑤)。
- 戻る予定 → みなし再入国許可で出国(在留カードは返納しない・⑤)
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出国後(5日〜14日以内など)各種喪失届・本人の請求会社がやること
- 健康保険・厚生年金の資格喪失届(年金事務所へ5日以内)
- 雇用保険の資格喪失届+外国人雇用状況の届出(ハローワーク)
本人がやること- 帰国後に脱退一時金を請求
③ 税金の手続き(住民税・所得税)
税金は「住民税(前年の所得にかかる)」と「所得税(その年の所得にかかる)」で手続きが違います。出国してしまうと徴収が難しくなるため、出国前に片づけるのが基本です。
| 税金 | 会社がやること |
|---|---|
| 住民税 | 残りの住民税を最終給与から一括徴収(1〜5月退職は一括徴収が原則、6〜12月退職は本人の申し出により)。退職の約1か月前までに給与所得者異動届出書を市区町村へ。徴収しきれない分や翌年度分が残るときは納税管理人を選任。 |
| 所得税 | その年の1月1日〜出国日までの所得について出国時の年末調整を行う。または納税管理人を届け出て翌年に確定申告(準確定申告)。賞与などで国内源泉所得が残る場合は20.42%の源泉に注意。 |
※ 出国時の年末調整・国外扶養親族の扶養控除など、所得税のくわしい扱いは 技能実習生の年末調整・税金 で解説しています。
④ 社会保険・年金と脱退一時金の準備
退職にともない、健康保険・厚生年金と雇用保険の資格を失います。会社は喪失の届出を、本人は帰国後に脱退一時金の請求をします。脱退一時金は出国前の書類準備が肝心です。
- 健康保険・厚生年金(年金事務所)退職日の翌日が資格喪失日。資格喪失届を5日以内に提出。健康保険証は回収して返却します。
- 脱退一時金(本人が帰国後に請求)厚生年金に6か月以上加入していれば、日本に住所がなくなった日から2年以内に請求できます。受け取りには下の書類を出国前にそろえておくとスムーズです。
・脱退一時金請求書(日本年金機構のサイト・年金事務所で入手)
・基礎年金番号がわかるもの(基礎年金番号通知書・年金手帳など)
・パスポートの写し(氏名・生年月日・国籍・署名・在留資格のページ)
・本人名義の受取口座の情報(銀行名・支店名・口座番号)。日本の口座はカタカナ名義。ゆうちょ銀行や一部のネット専業銀行は受取口座に指定できません
・納税管理人の届出(請求時に源泉徴収される20.42%の所得税を、退職所得の選択課税で取り戻すため。出国前に届け出ておくと有利)
帰国後、市区町村への転出(除票)を済ませてから、請求書を日本年金機構へ郵送します。
※ 加入する保険の全体像・保険料・脱退一時金の計算例(3年で約66万円など)は 技能実習生の社会保険 で詳しく解説しています。
⑤ 在留カードの返納(※特定技能で戻る予定があるなら要注意)
在留カードの扱いは、「もう日本に戻らないか」「特定技能などで戻る予定があるか」で大きく変わります。ここを間違えると、しばらく日本に戻ってこられなくなることがあるので、いちばん注意が必要なポイントです。
| ケース | 在留カードの扱い |
|---|---|
| ① もう日本に戻らない (本帰国) | みなし再入国許可を使わずに出国します。出国審査で在留カードとパスポートを提示し「返納」を申し出ると、その場でカードにパンチ穴を開けて失効させます。無効化されたカードは記念にそのまま返してもらえることが多いです(回収される場合もあります)。 |
| ② 特定技能などで戻る予定がある/在留資格を残して一時帰国する | 在留カードは返納しない。出国時に出国カードの「みなし再入国許可による出国」を希望する欄にチェックし、在留カードを提示して出国します。出国日から1年以内(在留期限が先に来ればその日まで)に再入国すれば、通常の再入国許可は不要です(有効な在留カードを持っていることが前提)。 |
| ③ 一時帰国のつもりが、戻らないことになった | みなし再入国の期限(出国日から1年・在留期限のいずれか早い日)が切れた日から14日以内に郵送で返納(封筒に「在留カード等返納」と表記し、東京出入国在留管理局おだいば分室あて)。 |
※ 出典:出入国在留管理庁「在留カード等の返納」「みなし再入国許可」。
⑥ 雇用保険・外国人雇用状況の届出
退職時には、ハローワークへの届出があります。雇用保険に入っているかどうかで手続きが少し変わります。
- 雇用保険に入っていた人:雇用保険被保険者資格喪失届を、退職日の翌日から10日以内にハローワークへ。外国人雇用状況の届出は、この喪失届の備考欄で兼ねられます。
- 雇用保険に入っていない人:外国人雇用状況の届出(離職)を、離職した月の翌月末日までにハローワークへ。届出を怠ると30万円以下の罰金の対象になります。
※ 社会保険・雇用保険の加入や届出の全体像は 技能実習生の社会保険 もあわせてご覧ください。
⑦ 途中で帰国するとき(中途帰国)
実習の途中で帰国することになった場合は、上の手続きに加えて機構への届出が必要です。そして何より、本人の意思の確認が大前提です。
- 本人の意思を書面で確認:帰国は本人の意に反して行わせてはいけません。十分に説明したうえで、帰国の意思を書面で確認します。
- 機構へ届出:出国前に技能実習実施困難時届出書を、外国人技能実習機構(OTIT)の事務所・支所へ遅滞なく提出します(団体監理型は監理団体の指導に基づき準備します)。
- 帰国旅費はこの場合も会社/監理団体が負担:自己都合の中途帰国であっても、実習生本人に帰国旅費を負担させることはできません。
※ 出典:外国人技能実習機構「技能実習実施困難時の届出」。
帰国時にやることチェック
時系列でまとめると、次のようになります。出国日が決まったら、この順で逆算して進めてください。
- 1〜2か月前:帰国日・航空券の手配/(中途帰国なら)本人の意思確認+機構へ実施困難時届出/住民税の異動届を市区町村へ/(本人)送金・口座解約・荷物発送・携帯やライフラインの解約手配
- 出国前(最終給与まで):住民税の一括徴収/所得税の出国時年末調整または納税管理人の届出/寮・貸与品の精算/健康保険証の回収/(本人)脱退一時金の請求書類をそろえる・転出届
- 出国当日(空港):本帰国なら在留カードを空港で返納/戻る予定があるならみなし再入国許可で出国(返納しない)
- 出国後:健康保険・厚生年金の資格喪失届(5日以内)/雇用保険の資格喪失届+外国人雇用状況の届出(ハローワーク)/(本人)脱退一時金を請求
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