まず要点だけ
① なぜ失踪が起きるのか(最多の理由は「低賃金」)
失踪と聞くと「本人が勝手に逃げた」と思いがちですが、国の調査を見ると、原因の多くは受け入れ側の労働条件にあります。失踪動機でいちばん多いのは「低賃金」で、約7割を占めます。
※ 出典:法務省「失踪技能実習生の現状」のうち平成29年に行われた聴取の結果(失踪後に摘発された2,870人・複数回答。法務省が2018年11月に集計を修正して国会に提出。日本経済新聞 2018年11月16日、件数は衆議院 質問主意書(第197回国会))。失踪動機は「低賃金」が67.2%で最多でした。失踪者数は2023年に過去最多の9,753人となったあと、2024年は6,510人、2025年は3,950人(速報値・出入国在留管理庁)と減っています(→ 失踪はなぜ2年で6割減ったのか)。多くは受け入れ企業側の労働条件・支援体制を見直すことで予防できる要素です。
② 失踪が起きたら、すぐやること
連絡が取れない・無断で来なくなった、というときは、早く動くほど本人の安全確認にも、会社を守ることにもつながります。次の順で進めます。
- 監理団体に連絡まず報告し、届出を相談
- 機構へ実施困難時届出遅滞なくOTITへ(団体監理型は監理団体が中心)
- 警察へ行方不明届所轄の警察署へ
- 入管へ連絡地方出入国在留管理局
- 給与精算・資格喪失失踪日までの賃金、社会保険の資格喪失届、外国人雇用状況の届出
③ 届出を怠るとどうなる
失踪時の届出は法律上の義務です。「いなくなったから、もういい」と放置するのは禁物です。
④ 会社へのペナルティ(受け入れ停止・優良減点)
失踪が起きたとき、会社側にその原因(低賃金・長時間労働・不適正な環境など)があったかどうかで、影響の重さが変わります。
| 影響 | 内容 |
|---|---|
| 受け入れの停止 | 会社(または監理団体)の責めに帰すべき事由で行方不明者を出すと、その後1年間は新たな技能実習計画が認定されません(技能実習法施行規則第12条第1項第12号の2)。不正などで実習認定を取り消されると、取消しの日から5年間は欠格となり受け入れできません(技能実習法第16条・第10条第7号)。 |
| 優良要件の減点 | 失踪者を出すと、優良な実習実施者・監理団体の要件で減点。その結果、技能実習3号(最長5年)の受け入れができない、受け入れ人数枠が縮小する、といった不利益につながります。 |
| 計画認定への影響 | 受け入れの管理体制に問題があると判断されると、技能実習計画の認定・更新に影響することがあります。 |
※ 優良要件・人数枠のしくみは 技能実習の人数枠 でも解説しています。
⑤ 失踪を防ぐためにできること
失踪は「起きてから対応」より、「起きないようにする」のが何より大切です。原因の多くが賃金・環境である以上、受け入れ企業の取り組みで予防できます。
- 適正な賃金を払う最低賃金や残業代を必ず守る。日本人と同等以上の報酬にする。「低賃金」を理由とする失踪を防ぐ、いちばんの土台です。
- 働きやすい労働環境長時間労働をさせない、ハラスメントをなくす、安全に配慮する。労働時間の管理を適正に。
- 相談できる体制をつくる生活指導員などが、母国語ややさしい日本語で相談に乗れるように。困りごとを早めに把握し、孤立させないことが効きます。
- 記録を残す勤怠・賃金を正しく記録し、相談の記録も残す。適正な受け入れの証明になり、変化の早期発見にもつながります。
失踪への備えチェック
「起きたとき」と「防ぐため」の両面でまとめます。
適正な賃金・労働時間、記録できていますか?
失踪を防ぐ土台は、最低賃金・残業代を守った適正な賃金と、長時間労働をさせない労働時間管理です。AMSTIは外国人材の勤怠・賃金・労務書類をまとめて管理するシステム。日々の出勤入力から労働時間や賃金を正しく記録でき、適正な受け入れの証明と、変化の早期把握に役立ちます。30日間無料(クレジットカード登録は不要)。
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