まず要点だけ
技能実習生は1年以上の在留予定で入国するため、税法上は「居住者」=日本人と同じ。毎月の給与から所得税を源泉徴収し、12月に年末調整します(1年目から)。住民税は後払いで1年目はかからず、翌年6月から。母国の家族を扶養に入れる(扶養控除)と税負担が軽くなります(扶養2〜3人だと所得税と住民税で年10万円前後のことも)。申告し忘れても、あとから5年さかのぼって取り戻せます(還付申告)。
① 技能実習生も「居住者」=日本人と同じ
所得税では、国内に1年以上住む見込みの人を「居住者」といいます。技能実習生は1年以上の在留資格で入国するため、入国時から居住者として扱われ、日本人と同じように毎月の給与から所得税が源泉徴収され、12月に年末調整で精算します。
※「非居住者」に一律20.42%の源泉徴収を行うのは、在留予定が1年未満などの例外的なケースです。1年以上の技能実習では通常あてはまりません。
② 税金のカレンダー(源泉 → 年末調整 → 住民税)
- 毎月 ── 実習中所得税を源泉徴収日本人と同じく、毎月の給与から所得税が天引きされます。社会保険料も同様です(社会保険の記事)。
- 12月 ── 年末調整1年分の所得税を精算扶養控除などを反映して1年分の所得税を計算し直し、払い過ぎは還付・不足は徴収。1年目から行い、源泉徴収票を交付します。
- 翌年6月〜 ── 住民税住民税が始まる(1年目はなし)住民税は前年の所得に対する後払い。入国1年目は前年の所得がないためかかりません。入国の翌年6月から、特別徴収(給与天引き)で納めます。
③ 母国の家族を扶養に入れる(扶養控除)
技能実習生は、母国に住む家族でも扶養に入れて扶養控除を受けられます。仕送り(送金)で生活を支えている家族が対象です。ただし年齢で扱いが変わるので、ここがポイントです。
| 国外に住む家族の年齢 | 扶養控除の対象になるか |
|---|---|
| 16歳未満 | 対象外(所得税の扶養控除はなし) |
| 16歳以上30歳未満 | 対象(親族関係書類+送金関係書類) |
| 30歳以上70歳未満 | 原則は対象外。ただし「留学」「障害者」「その年に38万円以上の送金を受けている」のいずれかなら対象 |
| 70歳以上 | 対象(親族関係書類+送金関係書類) |
必要書類は2点セット+和訳会社へ次の2つを提出してもらいます。①親族関係書類(出生証明書・婚姻証明書・戸籍など+本人のパスポートの写し)②送金関係書類(金融機関の送金控え、家族カードの利用明細など)。外国語の書類は和訳を添えます。30〜70歳で送金要件の人は、年38万円以上送金したことが分かる書類が必要です。現金手渡しは不可で、銀行振込など送金履歴が残る方法にします。複数の家族を扶養に入れるときは家族ごとに送金します(1人にまとめて送ると他の家族分は認められません)。
どれくらい軽くなる?(扶養2〜3人なら年10万円前後のことも)
扶養控除は1人あたり所得税38万円・住民税33万円。たとえば年収240万円の人が母国の親2人を扶養に入れると——
・所得税:年およそ3.8万円 → ほぼ全額が還付
・住民税:年およそ8.6万円 → 約2万円に(年約6.6万円 軽減)
合わせて年10万円前後、負担が軽くなることもあります。扶養する家族が多い・年収が高いほど効果は大きくなります。
※所得税は年末調整・確定申告で還付、住民税は翌年の負担が減ります(1年目の住民税はもともと無し)。金額は収入・自治体で変わる概算です。
扶養控除は1人あたり所得税38万円・住民税33万円。たとえば年収240万円の人が母国の親2人を扶養に入れると——
・所得税:年およそ3.8万円 → ほぼ全額が還付
・住民税:年およそ8.6万円 → 約2万円に(年約6.6万円 軽減)
合わせて年10万円前後、負担が軽くなることもあります。扶養する家族が多い・年収が高いほど効果は大きくなります。
※所得税は年末調整・確定申告で還付、住民税は翌年の負担が減ります(1年目の住民税はもともと無し)。金額は収入・自治体で変わる概算です。
④ 申告し忘れても、あとから取り戻せる(還付申告)
「所得税が大きく戻った」と技能実習生の間で聞く話は、たいていこの扶養控除の還付申告のことです。年末調整で母国の家族の扶養控除を入れ忘れていても、あとから確定申告(還付申告)でやり直せます。
- 5年さかのぼれる:還付申告は、その年の翌年1月1日から5年以内ならできます。過去に申告し忘れた分も取り戻せます。
- 還付額の目安:年収240万円ほどで母国の親2人を扶養に入れ忘れていた場合、1年分で所得税約3.8万円が還付され(住民税も見直されます)、5年分さかのぼると十数万円になることもあります。扶養が多い・年収が高いほど大きくなります。
「実際に扶養している家族」だけ・代理は税理士取り戻せるのは、本当に送金して生活を支えている家族に限ります。親族関係書類・送金関係書類が必要で、実際には扶養していない家族を申告すると「不正還付」として追徴・罰則の対象です(2023年に要件が厳しくなったのはこのためです)。また、確定申告書の作成・提出(税務代理)は税理士の独占業務です。行政書士や無資格の代行業者には依頼できません(無償でも税理士法違反)。本人が税務署で手続きするか、税理士に依頼します。会社は源泉徴収票を渡してサポートできます。
⑤ 年末調整でやること
- 「扶養控除等(異動)申告書」を本人に記入してもらう(入社時・毎年)。母国の家族を扶養に入れるなら、その家族も記載。
- 扶養控除の書類を回収(親族関係書類+送金関係書類+和訳)。生命保険料控除などがあればその証明も。
- 12月に年末調整して精算。源泉徴収票を本人へ交付する。
⑥ 帰国・退職するときの税金
- 所得税:年の途中で帰国する場合は、出国(帰国)までに年末調整を行います。
- 住民税:市区町村へ「給与所得者異動届出書」を提出。残額は退職時の給与から一括徴収するか、普通徴収、または納税管理人を立てて納めます(1〜5月の帰国は原則一括徴収)。
- 年金の脱退一時金は税金とは別の手続きです。詳しくは社会保険の記事をご覧ください。
受け入れ企業がやること(チェック)
- 居住者として日本人と同じ処理。毎月の給与から所得税を源泉徴収し、1年目から12月に年末調整。
- 住民税は翌年6月から。1年目はかからない。始まったら特別徴収(給与天引き)で納める。
- 扶養控除の申告書と書類を回収。国外家族は年齢要件(30〜70歳は留学/障害/年38万円送金)と、親族関係書類+送金関係書類+和訳を確認。
- 途中帰国は出国前に年末調整+住民税の異動届。1〜5月帰国は住民税を一括徴収。
- 申告漏れの扶養控除は本人が還付申告で5年さかのぼれる。源泉徴収票を渡してサポート(確定申告の代理は税理士へ。行政書士・無資格代行は不可)。
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※税金の取扱いは法令改正で変わることがあります。最新・正確な内容は、国税庁・税務署・お住まいの市区町村や、税理士・社会保険労務士、所属する監理団体にご確認ください。本記事は受け入れ実務の一般的な解説です。