① 技能実習生にも最低賃金は適用される
最低賃金は国籍・在留資格に関係なくすべての労働者に適用されます。技能実習生も日本人と同じで、最低賃金を下回る賃金は認められず、下回ると罰則の対象になります。
② 最低賃金は2種類(ここが業種で変わる)
最低賃金には次の2つがあります。
- 地域別最低賃金:都道府県ごとに決まり、その地域のすべての労働者に適用。毎年10月ごろ改定。
- 特定(産業別)最低賃金:一部の業種に、地域別より高い水準で設定。鉄鋼業・電子部品・自動車関連・機械器具製造などの製造業が中心。
→ 適用は 高い方の1,100円(金額は説明用の例)
※2025年度(令和7年度)の地域別最低賃金は、全都道府県で時給1,000円超。最高は東京都1,226円、最低は高知・宮崎・沖縄の1,023円。改定の発効日は10月〜翌3月で都道府県により異なります。最新の額は厚生労働省・各都道府県労働局でご確認ください。
③ 技能実習ならではの「同等報酬」
技能実習では、最低賃金を満たすだけでは足りません。技能実習計画の認定基準として、日本人が同じ仕事をする場合と同等以上の報酬(同等報酬)が求められます。
たとえば、同じ作業をする日本人パートが時給1,200円なら、技能実習生だけを最低賃金(例:1,050円)にすることはできません。計画の認定申請では、就業規則・賃金規定などで同等であることを示す資料の提出が必要です。
④ 最低賃金に「入る賃金・入らない賃金」
最低賃金を満たすかは、支払う賃金すべてではなく毎月支払われる基本的な賃金で比べます。次のものは比較から除きます。
| 最低賃金に入る | 入らない(除外) |
|---|---|
| 基本給 | 時間外・休日・深夜の割増賃金 |
| 毎月の職務手当 など | 精皆勤手当・通勤手当・家族手当 |
| 毎月の住宅手当 など | 賞与(1か月を超えるごとに払うもの) |
月給制は時給に換算して比べます。月給(除外分を引いた額)÷ 1か月の平均所定労働時間 で1時間あたりを出し、最低賃金額と比較します。
⑤ 賞与・手取り・控除の考え方
賞与(ボーナス)
賞与の支給は法律上の義務ではありません。ただし、同じ業務の日本人に賞与を出している場合は、同等報酬・同一労働同一賃金の観点から、技能実習生にも同様に扱うのが原則です。なお賞与(1か月を超えるごとに払うもの)は、最低賃金や割増賃金の計算には含めません。
手取りの目安
手取りは、総支給から社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険、40歳以上は介護保険)と税金(所得税・住民税)を引いた額です。ざっくりの目安は 総支給 × 0.7〜0.8。住民税は前年の所得をもとに計算するため、来日1年目はかからないのが通常で、2年目以降に発生します。租税条約のある国の人は、所得税・住民税が免除される場合もあります。
給与からの天引き(控除)に注意
居住費(家賃)の控除ルール
寮や借上げ住宅の家賃を給与から引く場合にも、ルールがあります。
- 借上げ物件は、実際の家賃を入居人数で割った額が一人あたりの上限。自己所有なら建築費・耐用年数・人数を勘案した合理的な額。
- 本人の賃金や近隣の家賃相場を勘案して、不当に高額でないこと(相場並み以下が目安)。
- 敷金・礼金・仲介手数料・保証金などは控除できません(引けるのは家賃・管理費・共益費まで)。
- 水道光熱費は実費を人数で割った額以内。
※「手取りが○円以上」という法令上の固定額はありませんが、控除が過大で手取りが不当に低くならないようにします。実務上の手取りは月12〜16万円程度が多く、家賃控除を1名あたり2万円前後までにする例もあります(監理団体により目安は異なります)。なお自転車など生活・通勤環境の用意も望ましく、受け入れ企業は住居・家電などの生活環境を整えることが求められます。
受け入れ企業がやること(チェック)
- 自社の都道府県の地域別最賃を確認。毎年10月ごろ改定されるので毎年チェック。
- 自社の業種に特定(産業別)最賃があるか確認。あれば地域別と比べて高い方。
- 比較は毎月の基本的な賃金で。割増・通勤・家族・精皆勤・賞与は除く。月給は時給換算。
- 日本人と同等以上(同等報酬)も満たす。改定月に時給割れしないか毎年見直す。
改定のたびに、全員の時給割れをチェックできていますか?
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※最低賃金額は毎年改定され、都道府県・業種により異なります。最新・正確な額と適用は、厚生労働省・各都道府県労働局の公表でご確認ください。本記事は受け入れ実務の一般的な解説です。