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受け入れ企業の実務

技能実習から特定技能へ移行するには?

技能実習を終える人を、特定技能1号で続けて雇いたい——。技能実習2号を良好に修了していれば、試験免除で移行できます。試験免除の条件、移行できる/できないケース、在留資格変更の流れ、一時帰国の要否、在留期限に間に合わないときの対応まで、受け入れ企業の目線で整理しました。

技能実習の第2号を良好に修了していれば、技能試験と日本語試験が免除され、同じ分野・関連する分野の特定技能1号へ移行できる。技能実習は最長5年、特定技能1号でさらに最長5年、同じ会社で働ける。一時帰国は要らず、国内で在留資格を変更する。在留期限に書類が間に合わないときは特定活動(6か月・就労可)で働きながら準備できる。試験免除は育成就労の開始後も「当分の間」続き、終わる時期はまだ示されていない。移行すると実習生ではなく労働者として雇うことになる。
技能実習 最長5年 → 特定技能1号 さらに最長5年。試験免除は育成就労の開始後も「当分の間」続く。

まず要点だけ

2号を良好に修了なら試験免除同じ・関連する分野の特定技能1号へ
同じ会社でさらに最長5年技能実習と合わせて最長10年
一時帰国は要らない日本国内で在留資格を変更する
間に合わなければ特定活動6か月・就労可で働きながら準備

① 移行すると何が変わる?

在留が延びるだけではなく、雇い方も変わります。備えておくことは3つです。

在留が延びるさらに最長5年。分野によっては2号(更新・家族帯同)も
退職・転職が自由になる同じ分野なら他社へ移れる。定着策が要る
賃金が上がる日本人と同等以上が要件。コスト増を見込む
建設は賃金の基準が特に厳しい時給換算で「地域別最低賃金×1.1」と「全国加重平均×1.1」の両方を上回る。2025年度の全国加重平均1,121円なら約1,233円。月給制も必要

※ 全国加重平均=全国の最低賃金の平均。実際に払われている給与の平均(全国平均賃金)とは別の指標です。

実際に数字で並べると、ちがいは一目です(どちらも時給ベース)。

最低賃金と平均賃金の推移グラフ。

※ 最低賃金は全国加重平均(=全国の最低賃金の平均。厚生労働省)。平均賃金は賃金構造基本統計調査の一般労働者・所定内給与額を時給換算した概算(月額÷約165時間)。平均賃金は最低賃金のおおむね1.8〜2倍です。

② 試験免除で移行できる条件(良好修了)

特定技能1号は本来、技能試験と日本語試験の合格が必要です。技能実習2号を「良好に修了」していれば、どちらも免除されます。

「良好に修了」=次のどちらか

2年10か月以上+技能検定3級実技試験に合格(評価試験の専門級でも可)
評価調書で認められる実習実施者が作成する評価調書など
関連のない分野へ移るなら技能試験が要る日本語試験は免除のまま

③ 移行できる/できないケース

移行できる(試験免除)

2号を良好に修了技能検定3級の合格か、評価調書
職種に対応する分野がある同じ分野・関連する分野
在留期限に余裕をもって申請間に合わなければ特定活動(⑤)

そのままでは移行できない

対応する分野がない別の分野は技能試験の合格が必要
良好に修了していない評価調書も技能検定もない
分野が全国の上限に達している新規の受け入れが止まる(人数枠の記事

※ 移行できるのは、技能実習の職種が特定技能の対象分野(現在16分野)に対応している場合です。対応の有無は出入国在留管理庁の対応表で確認できます。

そのままでは移行できないとき——試験を受けて移行する道

対応する分野がない・良好修了でない場合でも、必要な試験に合格すれば特定技能1号になれます。特定技能1号は「技能」と「日本語」の2つの試験に合格が必要です。

技能:特定技能評価試験分野別。技能検定3級(初級)くらいの水準
日本語:JLPT N4 か JFT-Basic 200点基礎レベル(CEFR A2)。N4は5段階の下から2番目

※ いずれも「それほど高難度ではなく、過去問を中心に対策すれば合格できる」とされますが、分野や本人により差があります。JFT-Basicは年6回あり、JLPT(年2回)より受験機会が多いのも特徴。免除ルート(②)が使えるなら、試験は要りません。

試験のしくみ(どこで・いくら・どう受ける)

受けられる場所日本国内+海外の主要送り出し国(ベトナム・インドネシア・フィリピン・ミャンマー・ネパール・カンボジアなど)。海外で受けて来日する人も多い
方式CBT(パソコン)が中心。分野によっては実技もあり。方式・科目・回数は分野ごとに違う
開催頻度分野・国で異なる(国内は分野により毎月など、CBTは受験機会が多め)
申し込み各分野の試験実施機関/Prometricなどのサイトで予約(先着・定員制)
受験料分野ごとに異なる(無料の分野もあれば、数千円程度の分野も)
定員会場(席)ごとの定員制。人気の回は早く埋まるので早めの予約を

※ 運営機関・受験料・日程・定員は分野ごとに違うので、必ず各分野の公式「試験実施案内」で最新情報を確認してください。

どんな問題が出る?(例)

特定技能評価試験学科は選択式(パソコンで受けるCBT)。仕事の知識・安全・衛生など。分野によって実技も
技能検定3級学科と実技の両方に合格が必要。学科は○×式30問、実技は時間内に実際に作業して仕上げる

※ 技能検定の過去問題は中央職業能力開発協会(JAVADA)の「技能検定試験問題公開サイト」で、特定技能評価試験の情報は出入国在留管理庁の特定技能総合支援サイトで確認できます(実際の出題形式・サンプルが見られます)。

④ 手続きの流れ

移行は在留資格変更許可申請(地方出入国在留管理局)で行います。流れは次のとおりです。

このうちSTEP2の支援とSTEP4の申請を自社でやらず外部に頼むと、費用がかかります。目安は次のとおりです。

何に費用の目安
登録支援機関に支援を委託(STEP2)月額 約1.5〜3万円/人(入管庁調査の平均は約28,000円/人)。別途 初期費用がかかることも。自社で支援すれば委託費は不要(ただし支援体制が必要)
申請を行政書士などに依頼(STEP4)1件あたり 約10〜20万円。自分で申請すれば不要
在留資格変更許可の手数料(国へ・STEP4)許可時に 6,000円(オンライン申請は5,500円・2025年4月改定)。これは自分で申請しても必要

※ このほか、分野の協議会加入(無料の分野が多い)、健康診断、住居の準備などの費用がかかることもあります。受け入れ全体の費用は 受け入れ費用の記事 もどうぞ。

⑤ 在留期限に間に合わないとき

書類が在留期限までに揃わないときは、「特定活動(6か月・就労可)」に変更して、働きながら準備できます。くわしい条件は 帰国手続きの⑤ にまとめています。

在留期間は6か月更新はやむを得ない事情があれば1回だけ
同じ会社で働ける特定技能1号と同じ業務・同じ報酬
特定技能の通算5年に入る特定技能1号の通算4年6か月超は対象外

⑥ いつから準備する?(経過措置)

在留期限の2〜3か月前から契約・支援計画・書類の準備に時間がかかる
試験免除は「当分の間」続く育成就労の開始後も。終わる時期はまだ示されていない(出入国在留管理庁 育成就労制度Q&A Q80)
分野の受入れ上限にも注意上限に達すると新規が止まることがある

移行の準備チェック

  1. 期限と良好修了在留期限と証明(3級か評価調書)
  2. 分野の対応職種に対応する分野があるか
  3. 契約と支援計画登録支援機関への委託も検討
  4. 協議会と書類分野の協議会に加入
  5. 2〜3か月前に申請間に合わなければ特定活動

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